real world


「どうぞー。ちょっと模様替えもしてみたんだ。」


「あ、ホントだ。」



父と母の遺影を初めて部屋においた。



「手、合わせてもいい?」


「ううん。母さんと父さんは、宗教が嫌いでね…だから、いいの。」




宗教と金は人を狂わせる。



いつか父がこうぼやいていた。




神なんて、いてもいなくても、私達にはわかりっこないわ。




そうだね、母さん。


わからない。



なぜなら


神様は公平で、


いてもいないフリ。


見ても見ないフリ。


決して手を貸す事なく私達を見下ろしている。



「そっか…」


「うん。そうなの。」


「ハハッ。花音の父さんと母さんに会って見たかったなぁ。」


「もしそうなったら父さんビックリしてメガネ落としちゃいそうだなぁ、母さんはニコニコ笑って何も言わないだろうけど。」



そしてこう言うんだ。





その出会いは、大切だから、花音の宝物になれるようにしなさい。





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