real world



泣かない。


そう決めてた。


恋奈が言っているような気がしたから?



違う。



違うんだ。



俺は、泣きたくないだけなんだ。




「いやだ…俺は、泣かない。俺は、恋奈を過去になんかしない!過去になんかするもんか!」




恋奈は死んだ。


恋奈は止まってしまった。


なのに、俺は前に進むのか?


俺だけで先に行くのか?


いやだ。



確かに、確かに恋奈は、俺のそばにいたのに、俺の隣りにいたのに、



恋奈を沢山の過去のひとつにして、あんな恋もしたなっ、て笑ってるかもしれない俺を受け止めろっていうのか?




「あんたは、あんたは良いかもしれない、泣けばいい。恋奈を好きなだけ過去のひとつとして扱えばいい。俺はそんな事できない。だって、だって俺の隣りにいた恋奈は、あの時の恋奈は、俺に取ってのすべてだったから…!」




悠樹だってそうだろ?


お前の妹だった恋奈は、お前の大切な存在だったはずだろ?



止まれ。


止まれ。



俺の時間。



もうどうしていいか分からない。


どうしたらいい?




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