real world
ありがとうのひとことに尽きる。


婚約を破談にしたいのは私達のわがままななのだから。


「あの…友香。まだ選ぶの?」


「当たり前。どれが1番良いか見るんだから。」

「ってことはこれ全部着て見るの!?」


「イエス。」


花音は細いから、ワンピースが似合うと思った。


よって家にあったワンピースを全部持って来てもらったのだ。


量にして約50着。


「多すぎない…?ちょっと疲れてきたんだけど。」


「んー…じゃあスタイリストでも呼ぶ?」


「結構です。」


「なら頑張れ。あと5着だ。」


「はぁい…」


花音はかわいくていいな。いつもそう思う。


直人が好きになるのもわかる。


私が直人を好きになったのは、中学2年生の春だ。


1年生の時、花音のつながりで直人とは友達だった。


その頃から、私は気の強い性格で、なのにいでたちはまるで絵に描いたようなお嬢様だったっけ。

「友香~もうそろそろ決まった?」


「これが1番よかったな。これにしよう。」


「えっ!?それ最初に着たやつじゃん!」


「そうだっけ。」


「そうだよ友香!」


「ごめん☆」


あの時は自分が嫌いだったけど。今はこんな自分が嫌いじゃなくなった。

これも花音のおかげ。
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