real world
『これは誰の気持ち?


僕の気持ち?


なんていう名前?


形なく、


ふわふわ、ふわふわ


漂う。


My Hart?


Your Hart?


それは見えないもの。


あいまいな心ー…』


本当だ。


ショウゴって、よく見たら悠樹君だ。


正直嘘だと思った。


いや確かに似ているなぁとは思ったけど。


そういやPrinceってRoseと人気を取り合うほど有名だっけ。


―ピーンポーン―


「はーい…って大家さんどうなさったんですか?」


また追い出しに来たのかな?


『彩野さん。上杉の人と知り合いだったのかい。』


「はぁ…まぁ。」


友香がどうしたんだろう

『あなたの無実を伝えに来たんだよ。


ごめんね。人殺しなんていって。気が動転していたんだ。』


「いえ、いいですよ。時代が時代ですから、勘違いされても仕方がないですし。」


『そう?困った事があったら何でも言ってね。』

「はいー。ありがとうございます。」


ガチャ…


はぁー、と大きな溜め息をつく。


どうやら悠樹君あたりが友香に話したんだろう


上杉の名前を使えば疑われることはない。


「何でも言って…かぁ。」


笑える。本当に何か起こった時に、協力してくれる気もないくせに。


適当な事言わないでよ。

あの時の大家さんの手には、ファックスらしき物が握られていた。


身内なんかあてにならない。


なにしろ私が邪魔らしいから。


テレビからまだ彼の声が聞こえていた。


とても、優しい声。


「会いたいなぁ…」


この気持ちをなんて言うの?
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