real world
世界がうつろだった。


見えているのかいないのかあいまいな視界。


私はもう5日、部屋にこもって食事も水だけだった。


学校に行って彼女と顔を合わせる勇気が無かった。



―自分を守るために?


違う。『お金』を守るために。


『名誉』を守るために。

『地位』の確保のために。―



そんな下らない事で、彼女の両親は殺された。



犯人が、あんな近くにいて1年、


まったく気付かなかったなんてばかげてる。


「気付けなくて、ごめん。」



花音。ごめんね…


私、どうしたらいいかわからない。


「メール…?」


ケータイがなっていた。

誰からだろう。


「前…田?」


なんだろう。あいつからメールがくる事なんて無かったのに。



『To:上杉友香・西直人
Subject:緊急

本文:今すぐに学校来い。彩野を殺す気か?
保健室にいる。』


保健室?


まさかパニック起こしたのか?


どうして?


『―殺す気か?―』


私が花音の負担になったから?


そうだ。


間違ってた。


まずは、秘密を抱えながらでも学校には行くべきだったんだ。



私は部屋を飛び出した。


私、最低だ。
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