real world
*02*見えないフり。
『いらっしゃい。どうぞこちへ。』
「あ…はい。」
見た目に合わない喋り方だなぁ…
『悠樹は、仕事でしょ?』
「はい…ですが、」
『やるべきことは、やるべきだわ。』
「はい。それでは。」
えっ行っちゃうの?
私はとっさに悠樹君の制服のすそをつかんだ。
なにしてるんだろう。
馬鹿みたい。
でも、
放せない…?
「えぇっと、花音?」
話しかけられて、初めて我に帰った。
「あっ…ごめん。いってらっしゃい。」
「うん…?」
寂しいな。
―どうして?
―ぱたん―
クスクス…―
はっ、忘れてた!
『ねぇ、彩野さん。お話したくて今日、家によんだの。』
「はぁ…」
『奇妙でしょ。若すぎるって。』
はい。奇妙ですなんていっちゃまずい。
「まぁ、はい。」
これが1番無難だろう。
『私はね夫の再婚者なのよ。つまり、悠樹と血はつながってないの。』
それにしても若い。28ぐらいに見える。
『悠樹はなんだか誤解しているみたいで、いっつも他人みたいに私と話すのよ。』
「まぁ、確かに。」
何が言いたいんだこの人。
『そうだ、あなたに頼みがあったの!』
わぁーお。本物の天然さんか?
こっちよ。と手招きする彼女の笑顔は、少女みたいで、
少しだけ、羨ましかった。
世界を知らない、笑顔。
私の失ったものだから。
「あ…はい。」
見た目に合わない喋り方だなぁ…
『悠樹は、仕事でしょ?』
「はい…ですが、」
『やるべきことは、やるべきだわ。』
「はい。それでは。」
えっ行っちゃうの?
私はとっさに悠樹君の制服のすそをつかんだ。
なにしてるんだろう。
馬鹿みたい。
でも、
放せない…?
「えぇっと、花音?」
話しかけられて、初めて我に帰った。
「あっ…ごめん。いってらっしゃい。」
「うん…?」
寂しいな。
―どうして?
―ぱたん―
クスクス…―
はっ、忘れてた!
『ねぇ、彩野さん。お話したくて今日、家によんだの。』
「はぁ…」
『奇妙でしょ。若すぎるって。』
はい。奇妙ですなんていっちゃまずい。
「まぁ、はい。」
これが1番無難だろう。
『私はね夫の再婚者なのよ。つまり、悠樹と血はつながってないの。』
それにしても若い。28ぐらいに見える。
『悠樹はなんだか誤解しているみたいで、いっつも他人みたいに私と話すのよ。』
「まぁ、確かに。」
何が言いたいんだこの人。
『そうだ、あなたに頼みがあったの!』
わぁーお。本物の天然さんか?
こっちよ。と手招きする彼女の笑顔は、少女みたいで、
少しだけ、羨ましかった。
世界を知らない、笑顔。
私の失ったものだから。