real world
恋奈は兄をしたっていた。


ひょっとしたら、俺を好きな気持ちよりも。


恋奈に招待されて初めて彼女の兄に会った。



前田 悠樹。当時16歳



タメだと気付いた時は驚いた。


だって初めて会った時、


『こんにちは。家へようこそ。恋奈から話は聞いてますよ。』



といった挨拶だったし、何より容姿が大人びていると言うか、老けていると言うか…


どっちにしろきれいな顔立ちだった。


さすが兄妹。



『兄さんはね、母様が死んでから、変わってしまったの。笑っているけど、笑ってない顔をよくする様になって…
父様が再婚してからよけいに…』



恋奈は哀しそうな顔をしながらそう言った。


助けてあげたいけど、俺にできる事は限られている。


とりあえず話してみよう。



「学校はどこ行ってるんだ?」


「北陽(ほくよう)ですよ。男子校。」


「北陽!賢いねぇ…俺なんてからっきしでさぁ…」



…ひ、表現力の限界だ。


「からっきしって…海斗、学年の半分には入ってるじゃない。私なんて…」


「それは恋奈がおバカなんだよ。」


「兄さんひどい!最下位じゃないもん!」


「そういう問題じゃねぇだろ!」


「ほんとにねぇ…」


「なによー!2人して年下いじめてうれしいのー!?」



うぅ、恋奈サンキュー。

「あら、どうしたの?お客様?」


「「愛さん…」」



めぐみさん?誰だろう。

そう思って、悠樹の方を向いた。


動けなかった。


悠樹は、めぐみさんと言う女性を恨む様ににらみつけていた。



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