real world
「突発的だったらしい。屋上から飛び降りたみたいだ。」


恋奈の病室で、悠樹はそう言った。


「突発的?どっかで聞いたな。」



『―突発的だったらしいの。―』



そうだ。恋奈が言ったんだ。たしか、母親の自殺について。



「…恋奈が君に話したのか?」


「ん?あぁ。それが?」


俺は恋奈の彼氏だ。失格も同然だけど。



「相当信頼されているんだな。あの事は親友にすら話さないのに。」



「そうなのか?」


「それにしても、妙だと思わない?」


「…?」


「親子そろって突発的な自殺なんて不思議だと思わない?」



そういえばそうだ。


いくら偶然といえど、偶然がすぎると思う。



だとすると、自殺じゃない?


俺は沢山のチューブやコードにつながれた恋奈をみた。


恋奈。何が言いたかったんだ?



自殺じゃないなら、


一体なんだ?




「殺されかけたってことか?」





自分で言っておいて、信じられなかった。



「起きるかどうかはフィフティ・フィフティ。医者はそう言ってた。」



どうして?なんで?どうして恋奈が?もう話せないのか?笑ってくれないのか?



胸が張り裂けそうだ。







恋奈。お前は何が言いたかったんだ?



こたえろよ。


恋奈…
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