real world
「はー!間に合った!」


そう言って、僕は着席した。



「直人お前重いよ。減量すれば?」


「ん?友香は男にしちゃ軽いとか言ってたけど?力弱いなぁ悠樹。鍛えれば?」



「どっちもどっちだろ。大して変わんない。」


上杉…一体何を基準に言っているんだ?



「もう夏休みかぁ…早いね。そうだ。直人達仕事は?」



直人達…?



「俺はドラマの撮りがあるけど…悠樹は?」


「僕?僕もドラマかな。ていうか君と一緒のやつだよ。キャスト見たのかちゃんと。」



2人して天才探偵高校生役やるんだっけ。


そんなことより、さっき…というより朝から花音が目を合わせてくれない。


僕、何かしたか…?



「どうしたの?花音。そんな事聞くなんて。」


「花音って…」


「え?」


「名前。どうして急に下の名前で呼ぶの?」


「あ…嫌だった?」



そう言った瞬間、彼女は表情を曇らせて、下を向いた。


嫌だったのかなぁ…


『ピンポンパンポン―ただいまから―…』



あ、始まった。


でも話が頭に入ってこない。


―どうして急に下の名前で呼ぶの?



どうして?


決まってる。


花音が好きだからだよ…

< 96 / 330 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop