突然現れた王子
8.好きだ
あたしの涙は止まることなく、ひたすら流れ落ちた。
涙でケイタが歪んで見えた。
もうケイタに会えないの?
笑って『アユ!』って、
呼んでくれないの?
あたしは別れが嫌で、泣くことしかできなかった。
やっと、好きだって気付いたのに。
自分の気持ちに正直になれたのに。
ケイタと出会って1ヶ月
あたしの心の中は
ケイタでいっぱいになっていた。