突然現れた王子


あたしの言葉に、
母親はわけが分からないといった顔をした。

あたしは言葉を続ける。


「ケイタ……いなくなっちゃった」

「いなくなったって…?」

「…消えちゃったの」


あたしがそう言うと、

母親は信じられないと口を押さえた。


「ケイタ、いなくなる時に、総合病院に行ってって言ったの。
だからあたし、行ってくる」

「そこにケイタくんがいるの?」

「…分かんない。
けど行ってみるしかないと思って」




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