突然現れた王子


あたしがそう言うと、

母親はあたしの手を握りしめた。


「お母さん?」

「行ってらっしゃい。ケイタくんいたら、知らせてね?」

「…うん。行ってきます」


あたしは家を飛び出した。


走ってバス停へと向かうと、タイミング良くバスが来た。

それに乗り、総合病院へと向かう。


バスに揺られながら、
あたしの心臓は大きな鼓動を立てていた。


ケイタはいるの?

いるとしたら、一体どんな状態なの?


怖くて、仕方がなかった。




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