突然現れた王子


あたしは、耳を疑いそうになった。

今確かにこの人は「ケイタ」って言った。


聞き間違いなんかじゃない。

確かにそう言ったんだ。


けれど、ここにいるのがケイタとは限らない。

人違いかもしれない。


でもあたしは、ケイタであってほしいと、
そう願っていた。


あたしが固まったままでいると、

その女性はあたしに向かって手招きをした。




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