突然現れた王子
11.あたしの王子様
なんとか涙を止めて、授業を受けた。
けれど、内容なんて頭に入ってこなくて。
ケイタのことが気になる。
机の中に携帯を忍ばせて。
連絡をひたすら待った。
そんなことを繰り返して4時間。
お昼になり、
いつもの仲良しメンバーで、机を合わせた。
それぞれお弁当を広げて口に運ぶ。
あたしはあまり箸が進まなかった。
食欲なんて、出ない。
ケイタが心配でたまらないから。
飲み込むのも精一杯で。
あたしはお弁当の蓋を閉めた。