突然現れた王子


あたしはケイタと一緒に階段を下りた。


いい匂いが漂ってくる。

ドアを開けてリビングに入ると、
テーブルの上にはたくさんのご馳走があった。


「おいしそー!」


あたしは勢いよく椅子に座った。

ケイタも隣の椅子に腰を下ろす。


「ケイタくんのために頑張っちゃった」


まるで恋する乙女のような声で母親が言った。


「ありがとうございます」


微笑みながらケイタはお礼を言った。

その顔は本当に嬉しそうだった。




< 42 / 209 >

この作品をシェア

pagetop