突然現れた王子
あたしはケイタと一緒に階段を下りた。
いい匂いが漂ってくる。
ドアを開けてリビングに入ると、
テーブルの上にはたくさんのご馳走があった。
「おいしそー!」
あたしは勢いよく椅子に座った。
ケイタも隣の椅子に腰を下ろす。
「ケイタくんのために頑張っちゃった」
まるで恋する乙女のような声で母親が言った。
「ありがとうございます」
微笑みながらケイタはお礼を言った。
その顔は本当に嬉しそうだった。