突然現れた王子
みんなで乾杯をして、ご飯を楽しんでる時だった。
「あのっ……」
ケイタが箸を置いて、口を開いた。
「俺、ほんとはアユの友達じゃないんです」
「えっ?」
「ケイタっ!」
いきなりのケイタの発言に、
あたしは腕を掴んで止めようとした。
けれど、ケイタは止めようとしなかった。
「俺、気付いた時にはアユの部屋にいて、記憶もなくて自分が誰なのかさえ分からないんです」
ケイタの言葉に、みんなも食べる手を止めた。
真剣な眼差しでケイタの話に耳を傾けていた。
それをあたしは心配そうに見つめる。