突然現れた王子


みんなで乾杯をして、ご飯を楽しんでる時だった。


「あのっ……」


ケイタが箸を置いて、口を開いた。


「俺、ほんとはアユの友達じゃないんです」

「えっ?」

「ケイタっ!」


いきなりのケイタの発言に、
あたしは腕を掴んで止めようとした。

けれど、ケイタは止めようとしなかった。


「俺、気付いた時にはアユの部屋にいて、記憶もなくて自分が誰なのかさえ分からないんです」


ケイタの言葉に、みんなも食べる手を止めた。

真剣な眼差しでケイタの話に耳を傾けていた。

それをあたしは心配そうに見つめる。




< 43 / 209 >

この作品をシェア

pagetop