突然現れた王子


「帰る場所も分かんなくて、アユにここに置いてくれるよう頼んだんです」


家族の顔は、つらそうに歪んでいた。

何を考えているのか、分からなかった。


このままケイタは、追い出されてしまうのだろうか。

その時、父親が口を開いた。


「ケイタくん。事情は分かった」

「……はい」


返事が怖いんだろうか、
ケイタの表情は暗くなっていく。


「君は好きなだけここにいなさい」

「えっ?」




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