突然現れた王子
父親の言葉に驚いて、
ケイタは勢いよく顔を上げた。
父親の顔には、優しい笑みが溢れていた。
「記憶がなくて1番つらいのは君だろう?
だから記憶が戻るまで、うちでいいならいくらでもいていいから」
「いいんですか…?」
「ああ」
今にも泣きそうな震えた声でケイタが問いかけると、
父親は満面の笑みで頷いた。
ケイタは少し涙をこぼしながら、何度も『ありがとう』と言った。
何度も、何度も。
それを見たあたしは、すごく温かい気持ちになった。
最高な家族だ、そう思った。