突然現れた王子
2.家族
いつの間にかケイタとも打ち解けていて。
いろんな話をしながら二人で盛り上がっていた。
ケイタは何も話すことがないから、
ずっとあたしが喋ってるだけ。
それでも笑顔が耐えなかった。
なんだかケイタといたら安心感に包まれる。
そんな時だった。
「アユー。誰か来てるの………」
ノックもせずに入ってきた母親。
ケイタを見た瞬間、ドアノブを握りしめたまま止まった。
すっかり忘れていた家族の存在。
あたしはケイタのことをどうやって説明しようかと、
母親とケイタを交互に見ながら焦っていた。