夢の欠片
第一章【出会い】
ザッ ザッ ザッ ザッ
「……?」
ザッ ザッ ザッ ザッ
「……。」
ザッ ザッ ザッ ザッ
「……!」
目を開いた、つもりだった。もう一度閉じて再度確認した。そして分かったことがある。
自分には視覚がない。
もちろん信じられず、何回か同じ行動をとったが結果は同じだった。
光がなければ影もなく、色もなければ空間もない。暗闇でまぶたを閉じている時で例えるなら、黒が見えるというわけではなく、視界を意識していない時のような、そんな感覚。
自分は「見る」ということを知っているはずだ。なぜ見えない。どうして何も感じられない。
そんなことを一瞬で考えながら、無意識のうちに起き上がろうとした。……つもりだった。
それは他の部位でも同じようなことが起きていた。一切感覚に対して作用できない。自分からは何も干渉できなかった。
ただ、聴覚だけは違っていた。
意識がある時から聞こえている規則的な音。それに、時折『ビュー』という電線と強風の摩擦音も聞こえてくる。
ザッ ザッ ザッ ザッ
なぜかこの不思議な感覚に対して恐怖心はなかった。
何もできない。
ただそれだけ。
それから、ゆっくりとしたその音を長い長い時間の中繰り返し聞いていた。
しばらく無心で聞いていたが、次の音に心が動いた。
ファン ファン ファン ファン
どこからか聞こえてきたその小さな音が、だんだんと大きくなっていった。その直後、永遠と続いていた規則的な音が小刻みになり、それに重なるようにしてその音も小さくなっていった。
辺りは静けさだけが残っていた。聞こえる音といえば、ごく稀に吹く風くらいで、他の音は何もない。
それからしばらくして、小さな光が大きくなり、その光だけの真っ白な世界へ変わっていった。
「……?」
ザッ ザッ ザッ ザッ
「……。」
ザッ ザッ ザッ ザッ
「……!」
目を開いた、つもりだった。もう一度閉じて再度確認した。そして分かったことがある。
自分には視覚がない。
もちろん信じられず、何回か同じ行動をとったが結果は同じだった。
光がなければ影もなく、色もなければ空間もない。暗闇でまぶたを閉じている時で例えるなら、黒が見えるというわけではなく、視界を意識していない時のような、そんな感覚。
自分は「見る」ということを知っているはずだ。なぜ見えない。どうして何も感じられない。
そんなことを一瞬で考えながら、無意識のうちに起き上がろうとした。……つもりだった。
それは他の部位でも同じようなことが起きていた。一切感覚に対して作用できない。自分からは何も干渉できなかった。
ただ、聴覚だけは違っていた。
意識がある時から聞こえている規則的な音。それに、時折『ビュー』という電線と強風の摩擦音も聞こえてくる。
ザッ ザッ ザッ ザッ
なぜかこの不思議な感覚に対して恐怖心はなかった。
何もできない。
ただそれだけ。
それから、ゆっくりとしたその音を長い長い時間の中繰り返し聞いていた。
しばらく無心で聞いていたが、次の音に心が動いた。
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どこからか聞こえてきたその小さな音が、だんだんと大きくなっていった。その直後、永遠と続いていた規則的な音が小刻みになり、それに重なるようにしてその音も小さくなっていった。
辺りは静けさだけが残っていた。聞こえる音といえば、ごく稀に吹く風くらいで、他の音は何もない。
それからしばらくして、小さな光が大きくなり、その光だけの真っ白な世界へ変わっていった。
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