夢の欠片
現代文、古典、数学、世界史、化学、生物、英語と七教科も受けることになったけど、休憩を挟まずに次々と解いていき、二時間半ほどで全ての問題を解き終えた。


久しぶりの感覚だったから、疲れたというよりは、楽しかったという感覚が大きかった。


「終わりました」


そう言った時、校長が「早い」と呟いたのが聞こえて、少し誇らしげな気分になった。


「それでは解答致しますので、もうしばらくお待ちください」


そう言って校長は再び出ていった。


「どうだったの?」


お母さんがそう聞いてきて、私は「余裕!」とピースサインを見せた。


「さすがね」


お母さんも自慢気な表情で笑っていた。


それから数十分間お母さんと雑談していると、校長が戻ってきた。


「いやー、お見事です。全て満点でした!」


「やった!」


私は嬉しくてガッツポーズをした。


「異例ではありますが、入学を認めます。制服と教科書は後日購入していただくことになりますが、それまで教科書は我々が代用のものを貸出しして、制服についてはしばらくはスーツのようなもので大丈夫です。その条件であれば明日からでも来ていただいて構いませんので、これからよろしくお願いします」


校長は深々と頭を下げた。


「こちらこそ無理言って申し訳ありませんでした。本当にありがとうございました」


私もお母さんに続いて頭を下げた。


「いろいろお渡ししたいプリントが沢山ありますので、職員室まで寄っていただけますか? そこで担任教師の紹介もするので」


「分かりました」


こうして私たちは職員室へ向かった。
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