夢の欠片
今回の夢はいつもと違っていた。感覚がある。何かを持って回している。


それが皿で、今自分は皿洗いをしているんだと気がついたのはすぐ後のことだった。


しかし、なぜか手が痙攣して、皿を落としてしまった。


ガシャン!


不快な音が周りに響く。


「おい! 何割ってんだよ!」


その直後に聞こえた、昨日の夢の男性の声。


「もっと注意しろよ!」


次の瞬間、みぞおちのあたりを激しい衝撃が襲った。そして、身体が浮き、強く頭にも衝撃が襲った。


痛い……激しい痛みが腹と頭にある。手が頭を触り、ヌルッとした触感があった。きっと、血だ。それを目の前に持ってきている。多分夢の中の俺は、手についた赤くべっとりしたものを確認しているんだろう。


もしかして俺は、皿を割っただけでここまで怒られているのだろうか。だとしたら、虐待レベルだ。


「次やったらこれだけじゃ済ませないからな」


最後にそう言い残して、男性の足音が徐々に小さくなっていった。


その直後、いつものように白い光があたりを包み込んでいった。
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