夢の欠片
五時間目は数学だった。由梨が積極的に手を上げ、天才ぶりを発揮しているのを感心しながら見ていたが、それは長くは続かなかった。


『眠いな……』


頬杖をつきながら、下を向いて大きなあくびをする。


「遠矢! 授業中あくびとはいい度胸だな!」


山辺が怒鳴ってくるが、目覚めの材料とはならない。


「だいいち、いつもいつも寝てるのが気に食わないな。咲森とはたいしょ……」


そこまでは聞こえたが、それからは何を言っているのか分からなかった。
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