別れの笑顔
私は県内の短大へ。彼氏のコウイチは東京の大学へ。倦怠期真っ最中の私たちに遠距離はきっと無理だろう。

そして彼は…

「ねぇ。倉持くんは進学? それとも就職?」

聞く機会なんていくらでもあったのに今日聞いてる自分が少しおかしかった。

「どっちでもないかな。修行しに外国に行くんだ。いつこっちに戻ってこれるか分からない」

「…そっか」

なんとなく、なんとなくそんな気がしていた。彼は遠くに行ってしまうんじゃないかと。

やっぱりこれで最後なんだね。

再び空を眺めていると倉持くんはおもむろにケータイを取り出し、空にかざした。

――パシャ、と音がする。

それは見慣れた光景だった。ケータイのカメラ機能を起動し、空を一枚だけ撮影する。ここでの彼の習慣だった。

実は気になっていたんだ。最後だし聞いてみようかな。

私は顔だけを彼に向けた。

「空、いつも撮ってるよね。どうして?」

「…どうしてだろうね」

「もったいぶらないで教えてよ」


「島崎さんと見ていた空を覚えておきたかったから、かな」

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