金木犀の散った日〜先生を忘れられなくて〜
カラー
先生と会いたいような、会いづらいような……
そんな複雑な気持ちで翌日学校に行くと先生はいつまでも教室に来なくて、代わりに副担の女の先生が私たちにこう告げた。
「恩田先生は風邪でお休みです。
現代文の授業は課題のプリントが出ていますので、それをやってもらいます。帰りのホームルームは私が来ますので、準備ができたら職員室に呼びに来てください」
先生が、風邪……
それってあんな雨の中で、傘も差さずにいたから?
どうしよう……もしそうなら私のせいだ。
先生を心配する気持ちと罪悪感とがぐるぐる渦巻いて、少し考えてから私はあることを思い付いた。
……先生の家なら、知ってる。
お見舞い……行ってみる?