金木犀の散った日〜先生を忘れられなくて〜
「誰が、こんなこと……」
恐怖で声を震わせながら言うと、先生がもう一度写真をじっくり見始めた。
そして何枚目かを見たときにはっとした表情になり、今度は封筒の表を観察する。
「もしかして……」
「心当たり、あるんですか?」
「うん。もし僕の予想が当たっているなら、そんなに怖がる必要はないかもしれない」
「…………?」
先生の言っている意味がわからなかった。
こんな写真を送りつける人が、まともだとは思えない。
「これ、借りてもいいかな」
写真を封筒に戻しながら聞く先生に、私はコクリとうなずいた。
あんなの家に置いておいたらきっと何度も見てしまって、怖さばかりががいたずらにあおられそうだったから。