金木犀の散った日〜先生を忘れられなくて〜


「――それでは、修学旅行の班決めですが、もう高校生ですから自分たちでできますね?

うちのクラスは36人でバランスよく男女も半々ですから、男子3人女子3人で6グループ作ってもらえると助かります」



ホームルームでの先生はいつも通りで、沖縄に行くことへの不安や戸惑いは全く感じられない。

大丈夫なんですかって聞きたいけど、前みたいに誰もいないところで二人きりになるチャンスなんてそうそうなくて、私一人でぐるぐる思いつめるばかりだ。



「千秋ー、菜月ちゃーん。土居と小林がうちらと一緒に組もうって言って来たんだけど、どうする?」



班決めでざわつく教室の中で、男子とコンタクトを取りに行っていた有紗が私たちの方へ戻ってきた。

ちなみに女子メンバーは私と有紗、それにあまりクラスで女子と群れることをしない森田菜月(もりたなつき)ちゃんの三人だ。


「……土居くん、か」



離れた場所に居る彼にちらりと目を向けると、ばっちりこっちを見ていた彼と目が合ってしまった。


わ、どうしよう。気まずいけど、断るのも悪いし……


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