金木犀の散った日〜先生を忘れられなくて〜
「……杉浦がさ、修学旅行は来たいって言ってるらしいんだ。
で、俺と小林なら一年の時あいつと同じクラスじゃなかったから、一緒の班でも大丈夫だろうってさ。同じ理由で女子も杉浦と同じクラスだったやつが居ない方がいいだろうからって」
「……やっぱ優しいなぁ恩ちゃん。それなら、うちらも断れないね」
有紗に言われて、私も菜月ちゃんもうなずいた。
杉浦くん……私の写真をこっそり撮っていたと知った時には驚いたし、いい気はしなかったけど……
修学旅行をきっかけに、ちゃんと友達になれたらいいな。
私たちは結局その六人で班を作り、班長になってくれた土居くんが黒板にメンバーの名前を書きに行ってくれた。
すべての班が決まると、今度はその班ごとに行う体験学習を何にするかを決めるようにと、先生から指示があった。
シュノーケリング、グラスボート、シーカヤック……どれも楽しそうなものばかりで、教室内は大盛り上がりだ。
そんな中、ふと教卓に立つ先生の方に目を向けると、難しい顔で何か考え込んでいる様子だったから、私は居てもたってもいられなくなって席を立った。