金木犀の散った日〜先生を忘れられなくて〜
帰りの飛行機の中で、私は瞳を閉じてこの旅行でのことを思い返していた。
三泊四日の修学旅行は、楽しいことばかりではなかったけれど……
大切な友達との時間
先生からの初めてのプレゼント
それらが素敵な思い出になって私の心に深く刻み込まれた。
これからはまた、先生と毎日学校で会うだけの日常に戻る。
前みたいに、学校でも抱き締めて欲しいなんて思う私は、修学旅行を終えて少し欲張りになっているみたいだ。
だってもう、あんな風に不安になりたくないんだもん……
私は服の上から、大切なペンダントをぎゅっと握りしめた。
こうすると、少しだけ先生を感じられる気がして安心するから……
飛行機を降りると、夕暮れの東京はもうすっかり秋めいていて少し肌寒かった。
先生と迎える初めての秋……
その物悲しい雰囲気とは無縁のものであればいいと、私は心から願った。