金木犀の散った日〜先生を忘れられなくて〜

“――――きみが、欲しい”


家に帰ってからもずっと、先生に言われたその台詞が頭の中で繰り返しリピートされてる。


食事もうまく喉を通らなかったし、勉強も手につかないし、もう何かをすることを諦めた私は、さっきからベッドの上でじたばたするばかりだ。


どういう意味かなんて、聞かなくても解った。

いつもより熱を帯びた先生の声が、耳にこびりついて離れない。



「どうしよう……」



いやだとか、怖いとか、そんな思いは全然ない。

ただ、そういう時どんな顔をして、どんな行動を取ればいいのかが全く解らない。


唯一、私が知っている情報と言えば……



“エッチの時、目隠しされたことある”



「……ないない!先生に限ってそんな……っ」



危うく想像しかけた頭を、枕に押し付ける。


菜月ちゃん情報は、私には役に立たなそうだし……

本当に、どうしよう……


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