金木犀の散った日〜先生を忘れられなくて〜


ワンピースの上に羽織っていたカーディガンが、先生の手によってするすると腕から抜かれて……

ただそれだけでも、自分がひどく無防備な格好になった気がして恥ずかしい。

両腕を交差させて身体を隠すようにすると、先生はその腕にキスを落としてからゆっくりとどかせる。

力を入れていたはずなのに、私の腕は言うことを聞かなかった。
先生のキスに侵されて、麻痺してしまったみたいに。



「……少し、背中を浮かせて?」



私の身体は今や彼の思うがままに動き、私の意思に反して勝手に背中が床から離れた。


ワンピースのファスナーを下げられる音がする。

それより大きく聞こえるのは、自分の心臓が激しく暴れる音。

その速さが先生に伝わったら、恥ずかしくて死んでしまいそうだ。



「あ……」



ふわりと、小さな胸を締め付けてたものが取り除かれた気配がした。

見られたくないけど、先生の目は塞ぐことができないから、代わりに自分の目をぎゅっと閉じて恥ずかしさに耐える。


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