金木犀の散った日〜先生を忘れられなくて〜
「千秋ちゃん……だったかしら?」
「は、はい!」
「ありがとう……秋人を助けてくれて」
「そんな、私はなにも……」
助けを求めるように先生を見ると、先生もお姉さんに同調するように微笑みながら頷いてた。
お礼を言われるようなことはしてないのに……
先生を好きなだけなのに……
「……でも、やっぱり彼女は生徒なのよね?」
お姉さんが心配そうに、先生に尋ねた。
先生が頷くと、お姉さんは長い髪をかき上げながらため息をついた。
……やっぱり、生徒と先生って普通に考えたら結ばれちゃいけないものなんだ。
お姉さんの表情を見てたら、それがよくわかる。
家族がその当事者だったら、どんな気持ちなんだろう……
いやだよね、きっと。
反対したくなるよね……
私はそう思ってうつむいていたのだけど……
「ばれないように、うまくやりなさいよ……?」
お姉さんの反応は、予想に反してあたたかいものだった。