金木犀の散った日〜先生を忘れられなくて〜

先生は私を抱いて少し安心したのか、私がお姉さんに何を言われたのかそれ以上は追求してこなかった。


男の人って単純なんだなって、恋愛経験の豊富なわけでもない私でも思ってしまった。

今回は、それに助けられたわけだけど……



「――もうすぐ、文化祭ですね」



家まで帰る道すがら、私を送るために隣を歩く先生が言う。



「そっか、もうそんな季節なんだ……」


「それとなくクラスの皆に何をやりたいのか聞いてみましたが、どうも僕には賛成できない意見が多くて困ります」


「賛成できない意見って……?」



先生がいきなり立ち止まって、私の姿を下から上まで眺めるとため息をついた。



「……やっぱりだめです。想像しただけで萌えたので」


「燃えた……?」


「千秋も反対して下さいね、もしもメイド喫茶に決まってしまいそうだったら」



メイド喫茶……も、もしかして。



「……想像したんですか?私の姿で」


「うん。萌え、でした」


「〜〜〜〜先生、変態」


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