金木犀の散った日〜先生を忘れられなくて〜
「ありがとう……」
……私も、杉浦くんのその言葉に助けられたよ。
先生との恋は、ときどきつらすぎて泣きたくなることもある。
だけど応援してくれてる人がいるって思うと、まだ頑張ろうって思えるから。
――二人で教室に戻ると文化祭の公開時間は終わっていて、片づけに入っていた班の皆が杉浦くんの傷を見て駆け寄ってきた。
仕事をさぼってしまったことを責める人なんて誰もいなくて、ほっとした私たちはさっきあったことを彼らに説明した。
「――そいつら、超インケン!私が一発殴ってこようか?」
一番怒っていたのは有紗だった。
実際に喧嘩したら負けるとわかっているのに、そう言ってあげられる有紗の優しさが私は大好きだ。
「クラス分かれたんだからほっといてくれりゃいいいのにな。杉浦、今度から一人でトイレ行くな。女子みたいに連れションだ」
「小林くん、その格好で下品なこと言わないでくれる?だからイマイチ指名伸びないのよ。……杉浦くん、間違ってるのはあいつらで、あなたは何にも悪くない」
小林くんも菜月ちゃんも、それぞれの方法で杉浦くんを元気づけようとしていた。