金木犀の散った日〜先生を忘れられなくて〜
有紗たちとワイワイはしゃぎながら買い物をしてる間は楽しかった。
二人に乗せられて、絶対に買えない値段のお店で試着を繰り返したりして……
でも、家に帰って部屋で一人になると急に疲れてきて、せっかく買ったものも開けないままベッドに横になった。
本当に、旅行できるんだよね……?
楽しみであることに間違いはないのに、実感が湧かない。
できるだけ楽しい時間にしたい。
そう思えば思うほど、小夜子さんのことが心に重くのしかかってくる。
私……
このまま知らんぷりして、先生のとなりで笑っていていいの……?
自分にそう問いかけるのは、これで何度目だろう。
こんなんじゃ、旅行もきっと楽しめない。
何度も不安に襲われて、その度に先生を困らせる。
隠しておくのもそろそろ……
限界、なのかもしれない……