金木犀の散った日〜先生を忘れられなくて〜

それから終業式まで、私は毎日ひどい顔をしていたと思う。


先生もきっと気づいていたはずだけど、テストの採点もあるし、年末だからかいつもより忙しそうにしていて呼び出されたりするようなこともなかった。


一番近くにいた有紗と菜月ちゃんは当然私を心配したけれど、「冬休みが明けたら話す」とだけ言って、私は考えることから逃げ続けた。


家に帰るとご飯もろくに食べずに部屋にこもって泣き、親にも心配をかけてる。


今日もお母さんが持ってきてくれた夕飯が、持ってきたときのまま扉の向こうで冷めている。



でも。


これもあと少しで終わりだから。


あと少しで、先生を諦める決心がつくから。


それまでどうか、こんな親不孝な娘を許してね……


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