金木犀の散った日〜先生を忘れられなくて〜

ガーベラ


教室に戻ると、有紗がすぐに駆け寄ってきた。


「千秋、恩ちゃん何だって?」


「……どうして反抗的なのか理由を聞かれた」


「……それで?」


「言うわけないよ。適当なこと言って逃げてきた」



それより……と言って、教室の中にいる背の高い男子“二人”に視線を移した。

でっかい……いかにも、バスケ部って感じ。

でも何で二人……?



「あ、紹介するね!」



有紗は私の腕を引っ張り、彼らの前まで連れて来た。

近くで見るとますます大きくて、ちょっと後ずさりしてしまう。



「私の親友の三枝千秋です!千秋、こっちの黒髪が角田先輩で、こっちのチャラそうな方が曽川(そがわ)先輩」


「チャラそうって失礼だろ有紗ちゃん、中身はまとも」



オレンジに近い茶髪で確かにちょっとチャラく見える曽川先輩は、有紗の頭をかるく小突いた。


< 31 / 410 >

この作品をシェア

pagetop