金木犀の散った日〜先生を忘れられなくて〜
「――――っくしゅん!!」
自分のくしゃみで目が覚めた。
いつの間にか太陽は傾いていて、そのせいかなんだか肌寒かった。
瞬きを繰り返して頭をはっきりさせようとするけど、いつまでもぼんやりと霞んだまま……
やがてキキッと自転車の止まる音がして、人影が近づいてくる。
よかった……
先生、帰ってきたんだ……
「千秋……?どうしてここに……それにその顔……」
「かお……?」
急いで庭に入ってきた先生は私の目の前に屈み、そっとおでこに触れた。
「……熱があります。とにかく、中に」
先生は一旦玄関から中に入ると、私の背後にある窓を開けて私を抱き上げた。
久しぶりだ……
先生とくっつくの。
熱があるからなのか、そんなのんきなことを考えて目を閉じていると、柔らかい場所にそっと降ろされた。
先生のにおいのする、お布団の上……