金木犀の散った日〜先生を忘れられなくて〜
――翌日、あまりのショックと熱で抜け殻みたいに使い物にならない私の元に、有紗と菜月ちゃんが来てくれた。
二人とも、私からの、『先生がいなくなっちゃう』ってメールを受け取って……
学校が終わってすぐ、息を切らせてうちまで駆けつけてくれたんだ。
「千秋……平気?」
有紗が、ベッドの上の私に問いかける。
平気だよ……って言って有紗を安心させたいのに、口を開くと泣いてしまうような気がして、私は何も言えない。
「熱は下がった……?」
菜月ちゃんの言葉には、ゆっくり首を横に振った。
昨日、先生に家まで送ってもらった後、私はさらに熱を上げた。
病院に行こうというお母さんの誘いをかたくなに断り、市販の薬さえ飲もうとしないから、症状は全く改善されない。
だって、外出する元気なんてないし、薬を飲むにはなにか食べなきゃならないんだもん……
「……千秋、話すのつらいのかもしれないけど、言わなきゃ千秋が潰れちゃう…お願いだから、メールに書いてあったこと、もっと詳しく教えて」
――私は静かに目を閉じた。
そして、先生との昨日の会話を思い出す。