金木犀の散った日〜先生を忘れられなくて〜
「菜月ちゃんは……?」
「私は英語を勉強したいから、文系の大学に行くつもり。通訳とか、翻訳家とか……
はっきり何になりたいかは決まってないけど、英語にかかわる職業に就ければいいなって」
「そう、なんだ……」
みんな、ちゃんと考えてる……
私、今まで頭の中先生のことばっかりで、なんにも考えてなかった。
だから先生のこと、応援してあげられないのかもしれない。
私には、夢も目標もない……
三年生になったのに、こんなの、だめだよね……
「――――先生は?」
不意に、有紗が私に言った。
「あ、先生、似合う」
菜月ちゃんもそう言うけど、言葉が短すぎて何を言っているのかわからない。
「先生……?」
首を傾げる私に、二人がそろって言う。
「千秋、学校の先生になれば?」
「千秋ちゃん、学校の先生なんて、どう?」