金木犀の散った日〜先生を忘れられなくて〜
「……千秋?」
「ラ……ラブラブ、しようと思って」
先生のお腹に乗っかってそう言うと、先生は突然両手で顔を覆ってしまった。
え……どうしよう。
だめ、だった……?
「馬鹿……」
「あ、あの、ごめんなさい!」
慌てて身体の上から退けようとすると、腕を引っ張られ逆に彼の胸に倒れ込んでしまった。
「先生……?」
呼びかけると、ゆっくり手をどけた先生の顔は真っ赤だった。
「押し倒されることが、こんなに嬉しいとは……僕は自分の性癖が少しショックです」
……あ。嬉しいって、言ってくれた……
いいのかな、このまま……先生がいつもしてくれるみたいなこと、先生にしても。
私は先生の唇にキスを落として、それから耳にそっと息を吹き込んだ。
「…………っ、ちょっと、待ちなさい、千秋」
困った顔をする先生が可愛くて、今度は首筋に舌を這わせた。
先生は声にならない声を上げて、ぎゅっと目を閉じる。
「先生……目をつぶっちゃだめ」
「え……?どうして――――」
「もうすぐ逢えなくなるんだよ……?その前に、先生の記憶を、私でいっぱいにしたいの」