金木犀の散った日〜先生を忘れられなくて〜
“恩ちゃんを空港まで見送りに行き隊”
先生に内緒で、そんなものが結成されることになった。
本当はクラス全員で行きたいところだけど、大人数では迷惑になるかもしれないし、予備校なんかがあって来たくても来れない人もいる。
だから代表のメンバーを選んで、お花と寄せ書きを贈ろうということになったのだ。
「――結局修旅のメンツだな」
黒板に書かれた名前を見て、呆れたように、でもどこか嬉しそうに呟く土居くん。
早速当日のことを話しあおうと言ったのに、みんな忙しくて放課後残れたのは私と土居くんだけだ。
「みんなきっと、私に気を遣ってくれたんだよね……」
行きたいという子はたくさんいた。
だけど私と仲のいい子を連れて行った方がいい、と誰かが言い出して、そうしたら自然とこのメンバーの名前が挙がったのだ。
「ま、ベストなんじゃね?お前絶対泣くから、渡瀬と森田が側に居た方がいいだろうし」
「……できれば泣きたくないんだけどな」
「いや、三枝は泣く。お前泣き虫だもん」
「……うう……否定できない」