金木犀の散った日〜先生を忘れられなくて〜
乾きかけていた再会の涙が、幸せと感動の涙となって、再び私の瞳から零れ落ちた。
先生のいない人生なんて考えられないと、この二年の間に何度思っただろう。
傷つけあったこともあるけど
たくさん泣かされたけど
それでも私は先生じゃなきゃだめだから……
いつでも私の気持ちは、先生だけを求めているから……
返事はもう、決まっているの……
「私も……ずっと先生と一緒にいたい……」
まっすぐに先生を見つめて、私は答えた。
「ありがとう……」
噛みしめるようにそう言って、私の薬指に銀のリングを通した先生。
そしてゆっくり腕を引かれてした誓いのキスは、少し塩辛くて、とびきり甘かった。
「――――そうだ、先生、あのね、菜月ちゃんが……」
先生と離れている間にあった色んなこと。
もう、私たちを邪魔するものはなにもないから……
ひとつずつ、ゆっくり話そう。
愛しています、先生……
私はこの日を二度と忘れない。
金木犀の散った日を。
不確かだった愛が本物に変わった
この大切な日のことを――――。
-end-