金木犀の散った日〜先生を忘れられなくて〜

「……僕は、そう思います。適当に選んでたらきっとこんなに似合わないだろうし」


「…………」


「もしかしたら三枝さんは人を信じることが怖いのかもしれないけど……信じてみるって、大事だよ」


「信じる……」



私が、疑いすぎなのだろうか。

曽川先輩は悪気も何もなくて、本当に私と付き合いたいと思ってくれてる……?


話しながら歩いているうちに、家が近づいてきた。

私は足を止め、恩田に言う。



「ここで、大丈夫です」


「……そう?」


「送って下さってありがとうございました」



ぺこっと頭を下げて恩田に背を向け数歩足を進めた。

でも、聞いてみたいことがもう一つあるのを思い出して、私は歩くのを止めて振り返った。



「あの……先生はあの家に住んでるんですか?」


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