金木犀の散った日〜先生を忘れられなくて〜

曽川先輩は私に気づくと満面の笑みで駆け寄ってきた。



「千秋じゃん!見に来てくれたの?」


「や……あの……はい……」


「サンキュ、せっかく来てくれたんだからちょっと外で話そうか」


「………はい」




どうしよう……今さらだけど、私こんなに素敵な人の彼女になっちゃったんだ。

緊張で右手と右足が一緒に出そう……


体育館裏まで来ると、曽川先輩は学校の敷地を囲う緑のフェンスに寄りかかった。

フェンス越しにはたくさんの赤いツツジが咲き乱れている。



「土曜日なんだけどさ、千秋、何時まで一緒に居られる?」


「え……?」


「昼メシ食って、その後服とか見たりして、夜も行きたいとこがあるんだけど」


「夜……ですか」



うちの親は別にそういうことに厳しくないし、有紗の家に何度か泊まりに行ったりもしてる。

きっと電車があるうちなら……


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