金木犀の散った日〜先生を忘れられなくて〜
「いえ……ない、ですけど」
マネキンが着ていたのは、首元が大きく開いたニットワンピース。
丈もかなり短くて、マネキンの長い足がほとんどあらわになっている。
「……試しに着てみない?」
「………えぇ!?」
ここってギャル系の服のお店だし、私にあんなセクシーな服似合うわけないのに……!!
「俺、千秋があれ着たとこ見たいなぁ」
曽川先輩がにこにこしながら言う。
……そんな風に言われたら断れなくて、結局二人でお店に入った。
お店の内装もかけられている曲も全然好みじゃないし、あの服だって、これっぽっちも着たくなかったけど……
初めてのデートで気まずくなって、曽川先輩に嫌われたらと思うと怖かった。
私の初めての恋だから……
大切に、したかった。