金木犀の散った日〜先生を忘れられなくて〜
お母さんの勧めでシャワーを浴びてから、リビングで恩田と向き合った。
テーブルの上には、お茶の入ったガラスのティーポットとカップ。
中身はお母さんが私のために入れてくれた、自家製のカモミールティーだ。
それを一口飲んでから、私は口を開く。
「……私、今日デートだったんです。あ、デートだと思っていたのは私の方だけだったんですけど」
「……どういうことですか?」
恩田が、怪訝そうに私を見る。
お母さんも台所から出てきて、、心配そうな表情で私の座るソファの隣に座った。
「……簡単に言うと、遊ばれてたんです。先生の見た、ガーベラの髪飾りをくれた人に」
意地悪を言いたいわけじゃなかったけど、事実だからそう言った。
「もしかして、僕が余計なことを言ったばっかりに……」
案の定、恩田は自分のせいだと思ったらしく、頼りない声を出す。
だけど私は首を横に振った。