金木犀の散った日〜先生を忘れられなくて〜
ハナミズキ
週が明けて学校に行くと、すべてを知ったらしい有紗が泣きそうな顔で私を待っていた。
「ごめんね……千秋、私曽川先輩がそんな人だと思わなくて……っ」
朝練のときに、有紗は何気なく私とのことを曽川先輩に尋ねたらしい。
すると彼はあっさり「別れた」と言い、有紗が目の色を変えて問いただすと、賭けのことまで全てを包み隠さず語ったという。
角田先輩も有紗と一緒になって怒ってくれたらしいけど、本人には全く響いてなかったと、有紗がすまなそうに教えてくれた。
「元々そういう人だったんだよ。別れられてよかった」
私に抱きついて謝る有紗の髪を撫でながら言うと、彼女はきょとんとした顔になった。
「……千秋、なんか変わった?」
「え……?」
「ついこないだ恋する乙女だったときも可愛かったけど、今はなんか凛としててきれい」