金木犀の散った日〜先生を忘れられなくて〜
昼休み、有紗と一緒にお弁当を食べていた私。
食べ終わってお弁当箱のふたを閉めていると、タイミングを見計らっていたかのように恩田先生に呼ばれた。
「はい、今行きます」
そう素直に返事をする私に、有紗は目を見開いた。
どうしちゃったのよ、千秋。
そんな声が聞こえてきそうな顔。
「実行委員のことだと思うんだけど、ちょっと行ってくるね」
戻ったら有紗にもちゃんと説明しなきゃ。
恩田先生のおかげで前を向けそうなこと、そして岡澤に、謝ってもらえるかもしれないことを……
「――――明日の委員会だけど、一回目だから顔合わせとちょっとした連絡があるだけだと思う。不安なら明日は僕もついていこうかと思うんだけど、どう?」
教室を出たところで、先生はそんな話をした。
いくら私が心配だからって、委員会に担任がついてくるなんて、聞いたことない。
それも先生のいい所なのかもしれないけど、ちょっと過保護で恥ずかしい。