金木犀の散った日〜先生を忘れられなくて〜
初めての実行委員会は、自己紹介と大会の日に着るクラスTシャツについての連絡だけだったから案外早く終わった。
担当は男の先生だった。
目を見る勇気はまだなかったけれど、私は冷静に、ただの先生として接することができたのでほっと胸をなで下ろす。
これも、恩田先生のおかげなのかな……
まだ時間も早いし、帰る前に第一回目の実行委員会の報告とクラスTシャツのことでも相談しようかな。
そう思って、職員室に行ってみたけれど先生の姿はなくて。
「恩田先生ならグラウンドで見たよ」
たまたま近くに居た先生にそう教えられて、私は靴を履き替えて外に出る。
グラウンドでは、サッカー部が砂ぼこりを巻き上げながら走り回っていて、そこから少し視線をずらすと、校庭の隅でハナミズキの木を見上げる先生の姿があった。